企業のイメージ訴求といえば、CM、雑誌、看板、SNSなどを思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし近年では、その訴求力の高さから、Webを活用したブランディング戦略への関心が高まっています。
このコラムでは、その背景や、ガバナンス、コンプライアンスページでの情報発信など、企業サイトを活用するポイントについて、当社の導入・構築経験をもとに解説します。
目次
企業の誠実さや透明性を伝える最も効果的な媒体
近年、企業の信頼性に対する関心がますます高まっています。
これは、SNSやウェブメディアなどを通じた情報拡散のスピードが飛躍的に向上しただけでなく、投資家や消費者が企業の姿勢をより重視するようになったことが大きな要因です。
企業の考えや姿勢は、組織評価や経営に直接影響を与えるため、企業ブランディングにおける社会的信頼の確保は、決して疎かにできない重要な要素であるといえます。
そのためどのような状況下においても、企業は発信者の意図が伝わる、正確な情報をステークホルダーに向けて発信し、「誠実さと透明性」を備えた企業イメージ戦略を徹底しなければなりません。
また、この取り組みにおいて、テレビCMやSNSも企業の誠実さを発信する有効な手段ですが、それだけでは十分とは言えません。なぜなら、SNSの投稿はタイムライン上で流れてしまい、CMは一方向的なメッセージにとどまりやすい傾向にあるからです。
つまり、企業の唯一の公式情報源であるコーポレートサイトこそが、正確なメッセージを伝え、長期的な信頼を築くための重要な媒体となるのです。
ブランディング戦略において企業サイトの活用が有効な理由
- 企業について顧客や投資家が検索した際、必要な情報をいつでも閲覧できる(情報が流れない)
- 変化に応じて正確な情報を即時に発信できる
- SNSやプレスリリースの遷移先としても活用でき、一貫した企業イメージを保持できる
- SEO戦略によって検索からの流入を増やし、企業の透明性や信頼性をより多くの人に伝えられる
信頼感を醸成するサイト設計とは
では、具体的にどのようなWebサイト設計が、企業の誠実さや透明性を伝えるうえで重要なのでしょうか?
信頼される企業サイトには、次の4つの共通要素があります。
1.透明性の訴求
企業の信頼を得るためには、体制やルールなど様々な切り口で情報の透明性を明確にした上で、企業活動や経営目標の達成状況などを適時開示し、積極的に情報を提供する姿勢を示すことが重要です。
2.デザイン要素の工夫
画像やイラスト、配色、フォント、余白など、言語化できないニュアンスをビジュアルに落とし込むことで、誠実さや信頼感を伝えます。
3.継続的な情報発信
企業の発信が滞っていると、管理が行き届いていない印象を与えかねません。定期的な更新が安定したイメージを維持するのに有効です。
4.誰でもアクセスしやすい設計
年齢・職種・性別を問わず、誰もが公平に情報を取得できるよう、視認性や操作性を意識した設計(ウェブアクセシビリティ対応)が不可欠です。
関連記事:ウェブアクセシビリティ対応義務化とは?導入の進め方ガイド
これら4つは、特にステークホルダーの信頼を高めるうえで欠かせません。
コンプライアンスやガバナンスページの重要性
前項で紹介した4つの共通要素の中で、最も大切なことが「透明性の訴求」です。
企業の信頼を築くうえで、透明性の確保は極めて重要です。いくら見せ方を工夫しても、企業の姿勢や方針を示す情報がなければ、信頼を得ることはできません。
例えば、企業の不祥事が報じられた際、多くの人が公式サイトを訪れ、企業の対応を確認します。
このとき、訪問者がいち早く知りたい事は、次のような情報です。
- 事実や経緯の説明(どのような姿勢で対応しているのか?)
- 未然防止の仕組み(再発防止策は講じられているのか?)
- 想定外の事態か、組織的な問題か(一時的な問題か、構造的な課題か?)
こうした疑問に対して、適切な情報共有で応じることが、企業の信頼性確保につながります。
具体的に、コーポレートサイトに掲載すべき主なコンテンツ例は以下の通りです。
コンテンツ例 | 目的 |
---|---|
経営理念や企業ビジョン | 企業の考えや価値観を伝える |
社内ガバナンス体制 | 経営の健全性を示す |
ステークホルダーへの説明責任 | 組織としての誠実な姿勢 |
リスクマネジメント・内部監査 | 透明性を示す具体的な取り組み |
透明性を高めるためには、ガバナンス・コンプライアンスのページでコンテンツを設け、適切な情報を発信することが不可欠です。また、企業の考えを明確に示し、信頼につなげるために、サイトの設計や情報の見せ方にも工夫が必要です。
信頼性強化のためのサイト改善ポイント
ここからは、「企業の信頼性」を高めるための具体的なサイト改善のポイントをお伝えします。
以下の項目を参考に自社サイトが適切に機能しているかぜひチェックしてみてください。
- 会社概要が明確に記載されているか
- 形式的ではない経営層のメッセージを発信しているか
- コンプライアンス方針を可視化し、専用ページを設けているか
- 透明性を示すデータ(第三者監査の報告、CSR/ESGレポートなど)が掲載されているか
- リスクマネジメントに関する情報が公開されているか
- 顧客の疑問に答えるFAQが設置されているか
- 情報が単に掲載されているだけでなく、継続的に更新されているか
- 年齢や閲覧環境を問わず、誰でもアクセスしやすい設計になっているか
ここで取り上げたのは、基本的なポイントの一部ですが、未対応の施策を洗い出し、
必要に応じてサイトを改修することで、企業の信頼性向上につなげることができます。
Webブランディングにおける大手5社の成功事例
上記の観点から、信頼性を獲得している企業の事例として、次の5社をご紹介します。
これらの企業は、Webサイト上で積極的に透明性のある情報公開を行い、信頼性を高めるための取り組みが充実しています。

業界別事例5選
1. 株式会社丸井グループ(小売り)
丸井グループは、社会貢献活動やサステナビリティの各項目を詳細に説明し、実際のサービスとどのように結びついているかを明確に示しています。
また、環境や社会への取り組みやコーポレートガバナンスに関する情報は、データを用いて視覚的にわかりやすく表現されており、透明性の高い企業活動を発信しているといえます。
2. 積水ハウスグループ(住宅・建設)
積水ハウスグループは、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する考え方や推進体制を明確に示し、企業の持続可能な成長を支える取り組みを紹介しています。
特に、長年にわたる環境への取り組みや、サステナビリティ経営の浸透を図るコンテンツを積極的に展開し、企業としての責任を果たす姿勢を示しています。
3. 富士フイルムホールディングス株式会社 (化学)
富士フイルムホールディングスは、サステナビリティレポートを公開し、第三者監査の結果を反映するなど、透明性のある企業活動を実施。
CSR活動報告を通じて、環境保全や社会貢献の取り組みを詳細に示し、企業の信頼性向上に努めています。
4. SKY株式会社(IT)
SKY株式会社は、社会的責任や環境への配慮に関する具体的な取り組みを報告し、透明性のある情報発信を行うとともに、マルチステークホルダー方針を明確に示し、株主、従業員、取引先、顧客、地域社会など、多様なステークホルダーとの適切な協働を推進しています。
5.パナソニック ホールディングス株式会社 (電気機器)
アクセシビリティ対応を強化し、(レベル AAに準拠)誰もが利用しやすいウェブ設計を採用。トップページのファーストビューに、商品の安全に関する大切なお知らせへのリンクを設置するなど、社会的責任を果たす姿勢を示しています。
ブランディング支援 当社実績紹介
ガバナンス・コンプライアンスページ・コンテンツ作成など、コーポレートサイト制作とともに支援させていただいた、企業ブランディングにおける当社の実績の一部をご紹介します。
株式会社ツムラ 様 事例
【サイト全体リニューアル+ガバナンスコンテンツ】
ガバナンスに対する取り組みを網羅的に掲載し、高い信頼性を提供

東ソー株式会社 様 事例
【サイト全体リニューアル+コンプライアンスページ】
健全な経営姿勢や、ガバナンス体制、コンプライアンス活動の詳細を明示

【サイト全体リニューアル+ガバナンス、コンプライアンスページ】
基本方針や体制、取り組みなど多岐に渡る情報を紹介し、継続した姿勢や透明性を提示

まとめ
企業を取り巻く環境は刻一刻と変化しています。このような時代において、組織の誠実さや透明性を伝えるには、適切なWebサイト設計が欠かせません。
現在の企業サイトは、企業情報の掲載だけではなく、組織の姿勢を示し、長期的な信頼を獲得するための役目があり、適切な情報設計・運用を行うことで、ステークホルダーとの関係強化につなげることができます。
当社マイクロウェーブクリエイティブは、大手企業様を中心に20年以上にわたりコーポレートサイトの制作を手掛けてきました。
企業価値を高めるサイト設計を得意としており、掲載すべき情報、見せ方、更新の仕組みや体制等、多角的な支援が可能です。
Webブランディングや企業イメージ向上への取り組みについてご検討中の企業ご担当者様は
ぜひ、お気軽にご相談ください!
この記事の著者

マイクロウェーブクリエイティブ プロデュースグループ
クライアントのビジネス課題を解決するための提案経験を活かし、サイト制作に関する多岐にわたる情報を提供します。