企業の顔となるコーポレートサイトは、株主・投資家に向けたIR情報の発信、顧客や取引先との関係強化、製品・サービスの紹介など、様々な機能や役割を備えており、正しい戦略を組み入れることでビジネスの成長を支える強力な基盤になります。
昨今、リニューアルや継続的な改善運用に投資する企業が多いのもそのためです。しかし、投資対効果の測定が難しく、社内での説明時や稟議の際に悩まれる担当者も少なくありません。
このコラムでは、コーポレートサイトの「成果とは何か」を解説するとともに、「KSF/KPI設計」に焦点を置いた成果測定の考え方、測定手順、成果を高めるための具体的な改善方法について詳しくご紹介します。
コーポレートサイトにおける成果とは
コーポレートサイトを作る目的や期待する効果は企業によって異なりますが、ビジネスに貢献するツールとして活用するためには、目標を設定し、「成果」を把握することが不可欠です。
「成果」とは、取り組みによって得られた良い結果のことで、目標に対する達成度合いでその有無が判断されます。
したがって、この「成果」を明確にするためには、組織の目標に紐づいたKGI(目指すべきゴール)を設定し、その達成に向けて必要なプロセスのKSF(ゴール到達に導く成功要因)の設定→それぞれに対応するKPI(プロセスの達成度を測る指数)の設定→各施策への落とし込み→の流れでツリーを展開し、その達成度合いを測る工程が欠かせません。
また、定量的な数値で表された「KPI」を基に達成度を把握し、KSFや施策を定期的に見直すことで目標達成を実現する効果的な改善サイクルを実施する事が可能になります。
ゴールの実現に必要なKSF(重要成功要因)
以下は企業サイトにおいて、目標を実現するために設定された"KSF"(成功要因)の一例です。
- 企業認知の向上
広報やブランディングの強化、コンテンツ拡充などで企業の認知度を深める - 投資家への情報拡充
投資家への情報拡充 投資家に対して企業価値を訴求する - 採用強化
即戦力となる求職者に魅力的な会社であることをアピールする - 企業価値の向上
企業価値の向上 社会的な課題に貢献しているサステナビリティ評価を高める - リード数や質の向上
問い合わせや資料請求などリード数を増やす、質を高める
施策とKPIの例
では、上の5つの成功要因において、コーポレートサイト上での成果を測る場合はどのようなデータを見れば良いでしょうか?
それぞれ、施策例と見るべき指標=(KPI)の一例をご紹介します。
(※実際のKPIは定量的な数値で設定します。)
- 広報・ブランディング・コンテンツ強化で企業の認知度を深める
施策例:コンテンツ作成、PR配信、SNS運用..
KPI:サイトの新規ユーザー数、PR配信数、エンゲージメント率.. - 投資家に対する企業価値を訴求する
施策例:IRページの作成・改善、IR資料設置、情報設計..
KPI:IR情報のセッション数、IR資料のDL数.. - 求職者への魅力的な会社であることをアピールする
施策例:採用ページ、採用コンテンツの作成・改善..
KPI:採用情報のセッション数、外部の求人サイトへの遷移数、応募数、内定承諾率.. - 社会的な課題に貢献しているサステナビリティ評価を高める
施策例:ESG・サステナビリティページの作成・改善..
KPI:サステナビリティ情報のセッション数、会社情報への遷移数.. - 問い合わせや資料請求を増やす
施策例:広告出稿、LP作成、フォーム最適化..
KPI:フォーム入力完了率、CV率、CPA..
このように、各施策ごとに評価の目印となる指標と目標値を定めることで、正解のないコーポレートサイトに対して、定量的に戦略の妥当性を評価することができます。
成果を実現するための改善方法
ここからは、先ほど例に挙げた「KPI」の改善方法やそのポイントをご紹介します。
- 企業認知の向上(新規ユーザー数の獲得)
新規ユーザーのサイト流入数を増やすためには、検索ニーズを把握したうえでのコンテンツ設計が欠かせません。 そのため、ターゲット顧客のインサイトや有効なキーワード、タッチポイントを知る必要があります。 また、検索エンジンに情報を正しく認識させるためのマークアップ方法など、SEO施策や情報構造の設計なども重要です。 - 投資家への情報拡充(セッション数向上)
投資家からの注目を高め、投資判断に良い影響を与えるには、必要とされるデータを把握するとともに、簡便な情報収集が行えるUIと、見たいページへ即座に遷移できるユーザビリティへの対応が必要です。 - 採用強化(遷移数、応募者数向上)
採用情報へのアクセスと外部の求人サイトへの遷移は、SEO設計や採用サイトと同期した情報を配置し、 いつでも採用サイトとコーポレートサイトを行き来しながら情報取得できる自由度を与えなければいけません。 また、応募者数を増やすにはスマートフォンでの利用が多いことを考慮するなど、マルチデバイスへの対応が必須です。 - 企業価値の向上(セッション数向上)
サステナビリティ情報へのアクセスに対しては、自社の取り組みが伝わるコンテンツの掲載はもちろんのこと、直観的な理解を促すビジュアルを用いることで、 そのあとの情報収集をスムーズするなど細部の設計の見直しも改善に繋がります。 - リード数や質の向上(CV率・CPA改善)
売上向上を目指すには、強みやベネフィットの提示や懸念材料の払拭を促すコンテンツの設計や、継続的な信頼獲得のためのUX戦略、購入や問い合わせを促すフォームの実装などビジネスに応じた様々な対策が必要です。
各KPIの改善方法は一例になりますが、検証と改善を繰り返すことで、売上に貢献する理想の形にサイトを変えていくことができるでしょう。
ROIで測るコーポレートサイトの投資対効果
ウェブサイトの投資対効果を測る指標は、リソースの集計など、コスト算出の精度によって数値が大きく変動するので、正確な効果測定をするには注意すべき点も多々ありますが、取り組みに対する効率を測ることは、リソースや予算配分を考える上で非常に重要です。
以下では、”ROI”(投資対効果)を用いたコーポレートサイトの費用対効果の測り方をご紹介します。
ROI(%)=コーポレートサイトに起因する利益/投資コスト×100
※投資コスト(制作費・運用費など)
※マーケティング施策の投資対効果を測るmROIは、算出方法が異なります。
算出された値が高いほど投資効果が高いと判断できますが、コンテンツの量や質が整わないうちは当然、サイトを通した利益も少ない状態ですので、低い値を見て直ぐに「投資対効果が低い」と判断するのではなく、中長期での経過を見ていく必要があります。
改善事例紹介
当社が担当させていただいたプロジェクトの中から、以下の事例をご紹介します。
株式会社ツムラ様事例 :情報・コンテンツの拡充
一般ユーザーから医療従事者、投資家や求職者など、多岐にわたるサイト利用者に対し、ユーザーごとの推奨コンテンツ導線を設置することで、 簡便な情報取得が可能なユーザビリティを実現しました。
株式会社竹中工務店様事例:企業価値の更なる向上
サステナビリティ情報を人、取り組みなど複数の視点から訴求することで、 様々な読み手に対し受け取りやすいコンテンツへ設計しました。 更に事業に対してもビジュアルと人によって、スケールと専門性を訴求し、求職者の期待を向上させました。
まとめ
正解がないと思われているコーポレートサイトに対し、各社独自の「正解」を用意する
ここまで成果を測る考え方や改善のポイント、当社の事例等を紹介してきました。
様々なケースがあり、どれが自社のベストなのか、非常に悩ましいと思います。
実際、多岐にわたるコーポレートサイトの目的に対し正解はありません。
だからこそ、何を優先的に行うのか、どのように行うのか、どこまでできるのかを検討する必要があり、Web制作のプロである制作会社とのコミュニケーションも成果創出要因の一つになるかと思います。
成果の出るコーポレートサイトを作るためには、「依頼者と受注者の情報を共有する」こと、 つまりは、長期的な成長戦略を共に考える良きパートナーと出会うことが重要です。
当社は、様々な業界・業種のサイト構築において約600もの支援実績があり、ビジネスに適した”成果を生む”Webサイトを作り上げることが可能です。
「どう進行すればいいかわからない」 「どんなサイトにすべきか相談したい」 など、プロジェクト始動前のお困りごとにも対応いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください!
この記事の著者
マイクロウェーブクリエイティブ プロデュースグループ
青山 泰之