Web制作会社選定にコンペは有効?失敗しない進め方と準備の手引

2024年10月26日

企業サイトや大規模サイトの新規立ち上げ、リニューアルの際、複数社の企画提案やデザイン案を比較するために、コンペ方式を選択する企業も多いかと思います。
本コラムは、Webサイト制作におけるコンペのやり方や手順、開催にあたりどのような準備をしておくべきか等、コンペ開催の基本から進め方まで詳しく解説してきます。
初めてコンペを開催される際や、選考の質を高めたいとお考えのご担当者のご参考になれば幸いです。

Webサイト制作プロジェクトにおけるコンペの目的とは

目的や準備物

サイト制作におけるコンペ=コンペティション(competition)の目的は、新たなサイトの構築や、リニューアルの際、 複数の制作会社から提案をもらい、その企画内容や見積もり金額から総合的に判断し、発注する企業を適正に決めることにあります。

コンペに参加する制作会社から最適な提案を受けるためには、
プロジェクトを始動の背景や目的、解決したい課題、条件などを取りまとめて資料化したり、 オリエンテーション開催、評価・選考など企業(発注者側)の周到な事前準備が必要になります。

コンペによる制作会社選定のメリットとデメリット

発注先の制作会社をコンペで選ぶメリットは、
各制作会社の強みを活かした企画や提案を横並びで比べられる事や、
デザイン提出を条件とした場合、発注前に制作会社の提案デザインを見比べる事ができることです。

制作会社観点で見ても、自社が勝ち取りたいという強い思いでプレゼンに挑みますので、 戦略やノウハウなどの強みを存分に発揮したアウトプットを提出し、十分なケイパビリティを伝えられるように準備します。

一方でデメリットは、ある程度のプロジェクト予算がないとコンペ参加者が集まらないケースが多い事や、有名な制作会社であってもプロジェクト内容にマッチしない、または実力や体制のない制作会社を選んでしまう
など、制作会社のピックアップを誤ると、良い結果につながらずプロジェクトが失敗に終わってしまう事です。

コンペの落とし穴、よくある失敗例

当社では、お客様から「プロジェクトの失敗と立て直し」に関するご相談をいただくこともあります。
以下では、コンペでの制作会社選定におけるよくある失敗例をご紹介します。

よくある失敗例

  • デザインが良く決定したが、スムーズな進行管理がなされず、大幅に納期が遅れた
  • 制作会社が一部の業務を外部リソースで補っていたため、追加予算が発生した
  • 費用を競いあったことで、制作費は低くなったもののクオリティに満足できない
  • 要件に対する技術力が無く、プロジェクトが進まなくなった など

コンペでは、デザインなど一つの側面だけで評価するのではなく、プロジェクトへの対応力や、要件に対して適切な技術を持っているかどうかを見極める力が求められます。

また、CMSやMAツールなどを利用する場合、用途に応じたパッケージが中立的立場から提案されているかが重要です。
自社パッケージや利害関係のあるパッケージを売りたいがために、特定のCMSを魅力的に見せる会社も存在し、発注後にパッケージが要求事項に合わなった、運用段階で人的コストが増大した、改修作業の費用が高額になったなど、様々な落とし穴へとつながってしまう為、注意が必要です。

コンペ方式が適しているサイト、プロジェクト

コンペには企業側の事前準備や、開催するための時間調整も必要になります。 当然ながらリソースが必要になるので、スピード重視で短納期を希望している場合は 希望納期を叶えられる制作会社に絞って依頼する方が良いですし、あまり予算がかけられないプロジェクトや部分的な改修のみの場合、制作会社側が辞退するケースもありますので、コンペ方式をとらない場合が多いです。
案件により細かな制約・条件もあり、一概には言えませんが、これまでの経験からコンペ方式が適しているサイトは、 以下になります。

  • 中〜大規模の企業コーポレートサイト
  • 複雑な要件、多様な要件を必要とするサイト
  • インフラ、鉄道、自治体、教育機関など専門知識を要するもの
  • 保険や医療など、特別な配慮や、細心の注意が必要な業界のサイト など

このようなサイトはコンペ方式を採用することで、実績や経験に自信のある制作会社が集まりやすく、コンペの段階で対応力や提案力を直接確認できるため、プロジェクトに最も適したパートナーを見極めて選定する事ができると言えます。
(コンペに声がけをする制作会社選びなど、慎重に行う必要があります)

Web制作会社を選定するコンペの流れ、進め方

ここからは、コンペの流れと各工程のポイントを解説します。

  1. 候補先のピックアップ

    既に候補に挙げている制作会社の他にも、業界知名度が高い会社やウェブ検索を使い、実績や成果事例から新たな制作会社もピックアップしておくと良いでしょう。

  2. 絞り込み

    目星をつけた候補先から、コンペ参加を打診する制作会社を絞り込みます。 実績数や、実績企業の規模感、体制(社員数)など絞り込みのための基準項目を作っておくとスムーズです。

  3. オリエンテーション開催

    候補先の企業に対し、プロジェクトの詳細や要望を説明します。 このタイミングで、最適な提案を受けるためのRFP(提案依頼書)を提示する事が一般的です。 オリエンテーション後にRFPに対する質問を受け付け、RFPのバージョンアップをすることで より精度の高い提案書を各社からもらう事ができます。 開催の流れやRFPなどの準備資料については、後項で詳述します。

  4. 制作会社からの提案書受領

    制作会社から、RFPを踏まえた提案書を受領します。 RFPが不十分な場合、提案内容にばらつきがあり、企画がしづらいという注意点があります。

  5. 書類選考

    提案書を受け、プレゼンに進んでもらう制作会社を2~3社に絞ります。

  6. プレゼン・選考

    書類選考で選出した制作会社からのプレゼンを受け 企画・提案や見積もり金額等など評価軸に沿って判断し、制作会社を決定します。 (拮抗している場合は二次選考を行う事もあります)

オリエンテーションの流れ 伝えるべき事や準備書類

コンペの工程の1つで、各社にプロジェクトの説明をする機会である「オリエンテーション」では、会社概要や経営理念・目標の他、今回の依頼するにいたる背景や目的、課題と求める成果、予算、納期などを具体的に提示し、伝える必要があります。

また、RFPを提示・説明説明し各社からの疑問や確認事項を受け付けることで、提案して欲しい方向性を合わせ、想定外の提案を減らす事も目的の1つと言えます。

各社、見積金額がバラバラになるケースが多く、予算に限りがあるときは希望の予算額を伝えることで調整します。合わせて、オリエンテーション後の選考の流れやスケジュールについても具体的な日程を組んで、提示しておきましょう。

一般的な流れは以下のようなスケジュール感で進みます。
※あくまで一例で、スケジュールは企業により異なります。

日程目安

内容

【スタート】9月20日

オリエンテーション開催

【約1カ月後】 11月5日

提案書の締め切り日

【約10日後】 11月15日 

書類選考結果通達

【約10日後】 12月5日

プレゼン・選考

準備しておくべき資料 RFP(提案依頼書)

前述の通り、オリエンテーション時に自社の情報やプロジェクト内容について、漏れなく細かく伝える必要があるため、RFPを用意しておく事が望ましいです。

RFPの書き方についてはこちらのコラムで詳しく解説しています。【テンプレ付】

RFP作成支援を代行し、全面的にサポートするサービスも提供しています。

制作会社を比較する際のポイント

予算や納期はもちろんの事、どんなに提案内容が良くても、規模の大きいプロジェクトは 実際に発注した際の実現性が重要です。プロジェクトの体制やアサインされるメンバーの経験・スキルや 進行管理方法、各フェーズでのドキュメント類のサンプルや過去事例なども確認しておくと、安全に納品できるかの判別がしやすいです。
以下で、選定の際最低限チェックしておくべき項目の一例をご紹介します。

  • 過去の制作実績(クライアント企業、業界、サイト規模など)
  • クリエイティブの品質
  • サービス提供範囲
  • 技術スキル
  • プロジェクト体制
  • メンバーの実績経歴
  • Web領域の専門的知識
  • コミュニケーション能力
  • アウトプット(資料)の質
  • 見積りの価格 など

プロジェクトの成功を左右する大切な工程ですので、各社を比較する際の評価表や選定シートを作成しておく事をおすすめします。

まとめ 私たちがコンペで伝える事

ここまで、Web制作におけるコンペについて、発注側の視点で役立つ情報をお届けしました。
当社では、コンペに参加する際、限られた時間と情報の中で、ターゲットユーザーを理解し、適格な提案を行うために 「なぜ論理的な設計やデザインを行っているのか」をお伝えするようにしています。

設計を見える化にすることで、お客様の意見を反映しやすくし、最終的により良いアウトプットを作り上げることができます。

また、ご依頼後の要件定義フェーズでは、お客様のご要望や伝えたいことを再度丁寧にお伺いし、情報をブラッシュアップすることで、高い精度でご要望を実現することができると考えています。

RFP作成代行や現状サイト評価、コンペサポートなど、制作会社選定における支援サービスも提供しておりますので、Webサイトの新規構築やリニューアルの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください!

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