Webディレクターは、Webサイトの制作プロジェクトにおいて、プロジェクト全体の進行を管理する役割を担います。その仕事は多岐にわたり、クリエイティブなアイデアの提供からプロジェクトの納期管理まで、幅広いスキルが求められます。
本コラムでは、Webディレクターを目指す方やスキルアップに向けて学ばれている方に向けて、Webディレクターの役割や現場で求められること、プロジェクトの進め方などを具体的にご説明します。
プロジェクトのスコープ定義
Webディレクターの最も重要な役割の1つは、クライアントや利害関係者と連携し、要件定義にてプロジェクトの範囲を決めることです。プロジェクトが進むにつれ、要望の変更や追加により期間や予算がオーバーし、トラブルに発展してしまうケースが多々あります。
そのため要件定義ではクライアントと打ち合わせを重ね、目的や課題をヒアリングして”要望に対してどこまで対応するか”などを決めていきます。
要件定義はプロジェクトの成功を決める重要なポイントになります。要件定義で対応すべき内容を“きちんと決めていた”か、”あやふやな面があった”かで後々大きな差が出るケースもあるので十分注意しましょう。
(要件定義についての詳細は、要件定義の進め方と内容のコラムでご紹介しています。)
プロジェクトの管理
プロジェクトの目標や要件を明確にしたあとは、プロジェクトのスコープ、予算、納期をもとに、それらを実現するためのスケジュールを立てます。
プロジェクトがローンチするまでの必要な作業を洗い出し、小さな作業単位に分割したあとは、社内のリソースや進行順序を配慮しながら細かくスケジュールを作ります。
なお、プロジェクトが進行するにつれて、程度の差はあれど遅延の生じるケースは多いため、その都度スケジュールを調整する必要があります。1か所の遅延が他の要件に及ぼす影響が大きい場合もありうる(玉突き状に連鎖)ので、期限内でどう調整するか、どこまで対応するか等の判断がディレクターに求められます。
各制作チームとの連携
要件が固まったらいよいよ構築フェーズです。
デザイナーやエンジニアなど各メンバーの役割や責任を明確にし、プロジェクトを進めていきます。このフェーズでは、大きな遅延が生じないよう、定期的に社内ミーティングを行い、各チームの進捗状況や課題を把握することが大切になります。
メンバーからの報告、質問、相談などが発生しますが、ディレクターは”舵取り”的な存在でもある為、主体的かつスピーディーに動いていかなければなりません。
また、問題の認識が誤った状態で進めてしまって事故が生じるケースもあるので、正確に物事を把握しておく必要があり
トラブルを避けるためにもコミュニケーションを円滑に、かつ密にしていく事が求められます。
品質管理とテスト
プロジェクトの品質を確保するために、テスト計画を策定し、品質管理を行います。最終的な成果物と要件定義で確定した内容を照らしあわせて、達成できているかを確認します。タイミングは案件やディレクターによって異なりますが、ある程度早い段階で1次対応した方が後々の影響が小さく済むケースが多いように見受けられます。
クライアントとの関係構築
社内メンバーだけでなく、クライアントとの信頼関係を構築する事も非常に重要です。Webの知識やプロジェクト経験に関わらず、どのような相手にも理解しやすいような進行・やり取りを心がけること、また先方の要望にただ応えるだけでなく、プラスαの価値を提供することが、長期的かつ良好なパートナーシップに繋がります。
なお、制作側とクライアントでは拠って立つ背景が違う為、プロジェクトを進めていく上で意見の食い違いが発生する事もあります。その際、ディレクターに求められるのはどちらかの意見に引きずられるのではなく、それぞれの事情を考慮の上、最も現実的かつ望ましい方向に誘導していく事です。このようなケースが生じても、それまでの進行でクライアントから信頼を得ているようであれば、ディレクターからの提案に納得して頂けるのではないでしょうか。
結論:Webディレクターとはプロジェクト進行の要
Webディレクターはプロジェクトの成功に向けてリーダーシップを発揮し、クライアントやチームと協力して目標を達成する役割を担うため、プロジェクト進行の要であり、中心的存在と言っても過言ではありません。
それだけに大変な面がある事は事実ですが、プロジェクトを成功させ、クライアントから感謝の言葉を頂いた際の充実感は、何物にも代えがたいと思えるでしょう。
本コラムでは、マイクロウェーブクリエイティブ流Webディレクターの主な仕事と進め方について解説しましたがこれからWebディレクターを目指す方や、転職に向けて活動されている同職の皆様のお役に立てれば嬉しいです。
この記事の著者
マイクロウェーブクリエイティブ ディレクショングループ
プロジェクトの進行管理や全体指揮を担当。業務やウェブプロジェクトに役立つ様々な情報を発信します。