上場企業にとってIRサイトは、投資家との信頼関係を築くために、必要不可欠です。
本記事では、IRサイトの概要や評価されるポイント、昨今のトレンドなどを幅広くお伝えします。
・IRサイトとはどのようなサイトか知りたい方
・効果的なIRサイトの構築に向けて準備されている、またはリニューアルを検討されている
など、企業のご担当者様に特に役立つ情報になりますので、ぜひ参考にご覧ください!
目次
IRサイトとは?ターゲットや役割
IRサイトとは?
IRサイトとは、上場企業が投資家や株主に向けて、IR(Investor Relations)情報を発信するためのWebサイトです。 投資判断に欠かせない重要な情報を、誰もがアクセスできるオンライン上で迅速かつ正確に提供することで、ステークホルダーとの信頼関係を築くための場として有効に機能します。
IRサイトのターゲット
IRサイトを訪れるユーザーには、応募を考えている求職者なども含まれますが、
メインターゲットは、当然ながら「株主・投資家」です。
投資家は以下の3つに分類されます。
- 個人投資家
個人資産で投資を行っている投資家です。投資スタイルや投資目的はそれぞれで異なり、投資のみで生計を立てる専業投資家と、会社員等他の仕事も行う兼業投資家に分かれます。個人投資家の持株比率は2割ほどとされています。
- 機関投資家
法人として投資を行う大口投資家です。株式や債券を巨額の資金で運用を行うため、市場に与える影響が大きいことが特徴です。機関投資家の持株比率も2割ほどとされています。
- 海外投資家
欧米や欧州を中心とした個人投資家です。日本の株式相場に大きな影響を及ぼしており、持株比率は3割を超え、日本の株式市場の最大シェアを占めています。
(持ち株比率:東京証券取引所 2023年度株式分布状況調査の調査結果 データ参照)
IRサイトの役割
IRサイトの役割は、投資判断に必要な財務情報や経営戦略を、Web上で適切に開示することに加え、
社会活動などの非財務情報を通じて企業の方針や考えを発信することにあります。
主な役割を、企業側と投資家側それぞれの視点から説明します。
企業側の視点: 自社の持続可能性や成長性を訴求することで、投資意欲を向上させる
投資家の視点:提供された情報を基に企業価値を理解し、投資判断を行う
IRサイトの活用により、企業とステークホルダー共に多くのメリットがあるため、
双方にとって重要なプラットフォームであることは間違いありません。
IRサイトの重要性
IRサイトは、株主や投資家に対して財務情報や経営方針を迅速かつ的確に伝えることを主な目的としており、コーポレートサイトとは異なる独自の役割を担っています。
そのため、企業がIR専用のサイトやページを設けることは、投資家との信頼関係構築や適切な投資判断の支援において、非常に重要であると言えます。
では、コーポレートサイトの他に、IR情報専用のサイトやページをもつ企業はどのくらい存在するのでしょうか?
企業のIRサイト保有率
日本の全上場企業(4,088社)を対象に実施した2024年の調査によると、 回答を寄せた1,039社(回収率25.4%)のうち、IR活動を実施している企業の割合は 97.4%で、このうち、97.9%が「投資家向け」「IR」専用サイトを保有しているとされています。
このことから、上場企業の多くがIR専用サイト(ページ)を通じて投資家とのコミュニケーションや、情報共有を強化していることが分かります。
(日本IR協議会:第31回IR活動の実態調査 データ参照)
IRサイトのコンテンツ例
では、企業の成長戦略において重要な位置を占める「IRサイト」には どのようなコンテンツが必要でしょうか? IRサイトの主なコンテンツは、大きく「財務情報」と「非財務情報」の2つのカテゴリーに分類できます。
財務情報:企業の業績や経済価値を示す数値データ
非財務情報:社会活動の取り組みなど財務情報以外の情報
-財務情報のコンテンツ例
・決算ハイライト(売上高、営業利益、経常利益、純利益)
・決算情報(決算短信、有価証券報告書、四半期報告書)
・株主還元情報(配当金の実績や方針、自社株買いの実施状況)など
-非財務情報のコンテンツ例
・ESG/サステナビリティ情報(温室効果ガス排出量、再生可能エネルギー利用率)
・顧客満足度(お客様の声、改善事例)
・知的財産情報 など
投資家が企業価値を多面的に評価できるようにするために、財務情報と非財務情報の両立が必要です。
非財務情報については、トレンドに関する後項で詳述します。
コーポレートサイトとIRサイトの違い
コーポレートサイトとIRサイトには、それぞれターゲットと役割に明確な違いがあります。
コーポレートサイトは、幅広いステークホルダーに向けて企業情報や事業内容を発信することで、認知度の向上や信頼感の醸成を図る役割があります。
一方、IRサイトは、主に株主や投資家に対して財務情報を中心に提供し、適正な評価を得て企業価値を最大化させる役割を担っています。
コーポレートサイト | IRサイト | |
---|---|---|
ターゲット | あらゆるステークホルダー | 株主・投資家が中心 |
役割 | 企業情報の発信を通じた認知度の拡大と信頼の獲得 | 投資判断に必要な情報提供を通じた投資の促進と拡大 |
サイトリニューアルや新規構築の際は、各サイトのターゲットと役割を意識し、目的に応じたデザインや設計を行うことがポイントです。
投資家に評価されるIRサイトの特徴
前述の通り、IRサイトは企業経営に直結する重要な役割を担っており、近年では「投資家に高く評価されるIRサイト」を目指す企業が増加しています。
ここでは、投資家から評価されるIRサイトの条件について解説します。
投資家に評価されるIRサイトの主な特徴は、
「透明性と信頼性の高い企業情報を迅速かつ明確に提供していること」です。
具体的には、大和インベスター・リレーションズ株式会社が提唱する「5T&C」の活用や、
Timely(適時性)、Transparent(透明性)、Traceable(追跡可能性)
Trustworthy(信頼性)、Total(包括性)+Communication(双方向性)
その他の外部評価機関の指標を参考にすることで、投資家からより高い評価を得られるIRサイトを目指す事が可能となります。
また、「コンテンツを充実させること」、「操作性・情報取得性に優れていること」も投資家の評価される上で重要なポイントです。
自社事業の好調性を示す財務情報はもちろんのこと、自社が展開する事業内容や市場における影響度、今後の成長戦略といった多角的なコンテンツを配備することで、投資家の信頼を更に高めることができると言えます。
ただし、IRサイトはその性質上情報量が多くなる傾向にあるため、各コンテンツが埋もれないよう情報の見せ方に配慮し、ユーザーがサイト内で迷うことのないような分かりやすい導線設計とデザインを工夫することが重要です。
当社では、外部評価指標を元にした独自の指標から、IRサイト評価サービスを提供しています。
現状のIRサイトの課題やリニューアルの必要性を判断するために最適なサービスとなりますので、是非ご利用ください。
IRサイトのトレンド
近年、海外投資家から日本株の注目度が高まり、海外市場の投資家層の拡大が企業成長の鍵となっています。
また、ESG・サステナブル投資の増加により、社会課題に対する責任や透明性を重視する風潮も高まっています。そのため、現在のIRサイトのトレンドは、以下の「IR資料英文化対応」と「非財務情報の拡充」が中心です。
IR資料英文化対応
東京証券取引所では、日本企業の持続的成長や企業価値向上につながる取り組み一環として、プライム上場企業を対象に「決算情報と適時開示情報の英文開示」を2025年4月から義務付けることを発表しました。
前述の通り、海外投資家の持株比率が高いからこそ、プライム市場だけではなく、スタンダード市場、グロース市場でも、英文化の対応がトレンドとなっています。
非財務情報の充実(特にサステナビリティ情報)
持続可能で社会的責任を果たす企業が長期的な投資対象として傾向が強くなっており、財務パフォーマンスだけではなく、サステナビリティへの取り組みなど非財務情報を掲載することも昨今のトレンドとなります。
当社のIRサイト構築事例
ここまでにご説明したとおり、IRサイトは、企業サイトの中でも特に情報の操作性やコンテンツの充実度、高度なUI/UX、視認性の高いデザインが求められます。
当社事例の中から、これら全てに対応した3社の実績をご紹介します。
株式会社ツムラ 様 実績
ツムラ様 IRページ制作のポイント
ポイント①:経営方針から業績・財務情報、個人投資家向け情報まで幅広い情報を網羅し、図表やグラフを効果的に使用することで、高い視認性を確保。
ポイント②:目的別にセクションを整理し、あらゆる言語圏の方の使いやすさに配慮。必要な情報にスムーズにアクセス可能に。
株式会社クレハ 様 実績
クレハ様 IRページ制作のポイント
ポイント①:IR資料の英文化に一早く対応。グローバル企業として、海外投資家へも投資価値を発信できるサイトを構築。
ポイント②:「クレハってどんな会社?」を作成。財務情報の他、主力商品だけではない、クレハ様の魅力を端的にユーザーに届けて、 魅力の向上に貢献。
わらべや日洋ホールディングス株式会社 様 実績
わらべや日洋ホールティングス様 IRページ制作のポイント
ポイント①:IRトップページやグローバルナビゲーションでは下層コンテンツへの導線を置くことで、どこにどの情報があるか直ぐにわかる情報取得性が優れたUIを設計。
ポイント②:「よくわかるわらべや日洋グループ」では、事業、製品、サステナビリティ、未来に対するわらべや日洋HDさまの想いをわかりやすく訴求。
おわりに:効果的なIRサイトを構築は当社にお任せください!
ここまで、IRサイトの特徴や役割、トレンドを整理しながら、その重要性について解説を行いました。
記事の中でお伝えした通り、IRサイト上で発信する情報は多岐に渡り、
投資家が求める情報を的確に反映した効果的なIRサイトは、企業価値の向上に大きく貢献します。
当社、マイクロウェーブクリエイティブは、上場企業のIRサイトを数多く担当しており、情報構造設計に精通したUI専門のデザイナーを始め、企業IRに関する幅広い知識をもつ専門家が在籍しています。
各社のご要望に沿ったIRサイトの構築が可能ですので、
\新規構築やリニューアルをご検討の企業はぜひ、お気軽にご相談ください!/
この記事の著者
マイクロウェーブクリエイティブ プロデュースグループ
クライアントのビジネス課題を解決するための提案経験を活かし、サイト制作に関する多岐にわたる情報を提供します。